橘和美の夢

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「その上、あれじゃあ」  ありえない。  その後も鍛錬に身が入らず、半端なまま和美はそれを終えた。  シャワーを浴びて部屋に戻ると髪を湿らせたままの空が課題と睨めっこをしていた。 「早いね」 「集中できなかった」 「あれは中々衝撃的だからねー」 と空は無邪気に笑う。 「どうするの?」 「とりあえず様子を見る」 「そっか。これ、合ってる?」 空は和美に睨んでいた課題を和美に見せた。 「過去形に三単現のsは付けない」 「ウソッ!」 「oftenはwasの後ろ」 「何でっ?!」 「be動詞は別。副詞は後ろに来る。そういうことになってるの」 「意味わかんねー。副詞とかボランティア」 和美は天を見上げる空を見て笑った。ちなみに福祉とボランティアは結構違う。 「笑うなー!」 「ごめんごめんっ」 「あーもうっ」  空は机に着いて課題の訂正をした。集中力を持たせる為か、アニソンを歌いながら。 「Searchin' For New World ~~」 ――――――  その日の日程に班決めがあった。修学旅行の班決めではない。そもそも3年にならないとそういう活動はない。演習などにおける班だ。分隊より一般的に小さい単位。そういう類。 班決め、とは言っても班は教官達によって決められていて、その顔合わせをする、というものだ。  和美は当然、と言えるが班長になった。2年2組第1班。メンバーは中々濃い、と和美は思った。
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