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眞柴は気を付けなければいけないが彼は変なだけ。遠藤長太郎は要注意だろう。
「ゴーの過去形ってなんだっけー」
放課後の寮、和美が自分のノートPCで学習支援システムにアクセスしていると同室の三ツ矢空が唐突に和美に聞いた。
「go-went-gone」
「どれ?」
「……went」
「ありがとー!」
空は馬鹿だ。ただ明るい。頼られると悪い気はしない、と和美は思う。……せめて「どっち?」
「かずみんのパソコンまた重くなってない?」
空は戻って書き留めることもなく続けた。飽きたのだろう。和美としては勉強をしたいところだったが無下にもできない。
「重くなってる。写真詰め込み過ぎたかな」
「かもねー。おっと時間がない。
Ангелы и демоны кружили надо мн~~」
しかし思いの他空はすぐに引き下がった。集中力を持たせる為なのかアニソンを歌い始めたが察するに課題が危ないのだろう。新学期早々。
和美は密かに溜息を吐いた。こんな感じの妹だったら、もしかしたらよかったのかもしれない、と彼女は思ってしまう。
空は運動が得意で長距離などはかなりのものだ。しかし、馬鹿だ。体育以外で負けることはない。
もう1度和美は溜息を吐いた。息と一緒に吐き出したいものがいっぱいある。例えば……。
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