橘和美の夢

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言うと動きがあった。小さいウィンドウが表示され、そこには英文が書かれていた。意味を取る程の時間もなくそれは消え、何故かパソコンが再起動に移行した。 「何で?」 「何かやばい感じ?」 わくわく、と聞こえてきそうな勢いで空が和美の隣に立つ。そうしている間に再起動プロセスは和美の許可なく進み、画面は次の表示を出す。  まるでハッキングのようなアルファベットの流れ。 「…………」 「…………」 それも終了し、次の表示。 「!?」 「ぶっ」 和美は驚愕し、空は咽た。 「何よこれ!」  表示されたのは誰がどう見てもポルノな画像だった。もう少し具体的に言うと裸だったりする外国人女性の画像。 和美は慌ててPCを閉じた。彼女の顔は真っ赤だ。 「いや、これはシャレにならんな」 空が咳込みながら和美を見た。 「わ、私は!」 「わかってるわかってる。とりあえず素数を数えよう。素数って何だ?」 「素数? 2、3、5、7……何してるんだろ、私」 効果はあった。和美はいったん深く息を吸い、吐いた。 「落ち着いた?」 「お陰様でね」 それから恐る恐るPCを開ける。とりあえず状況を確認しないといけない。戦場では常に冷静でいなければならない。そして状況把握を怠ってはいけない。教官が言った言葉を今更ながら和美は思い出す。戦場の方がマシだ。
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