橘和美の夢

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 少しだけ探りを入れてその日は頭を冷やす為に和美は眠った。そもそも和美の就寝時間でもあった。  そして翌朝、4時。 相変わらずロシア語だらけの画面を確認して和美は外に出た。彼女は太極拳の心得があり、朝毎日その鍛錬をしているのだ。ちなみに空も和美程ではないが早く起きてランニングをしている。  まだ日が昇らない薄暗い空。鳥の囀り。探したくなるのを抑えて深呼吸。酷い朝。酷い朝は以前もあったが方向が違う。  まずは柔軟。それから走り込み。ほど良く汗がにじむ。  あれはおそらくウィルスの類だろう、と和美は思う。何をするウィルスなのかはわからない。ただ嫌な画像を出すウィルスなのかもしれない。インターネットで検索しようにも言葉がわからないから何と検索すればよいのかがわからない。  息を適度に吸って和美は自分の筋肉、重心、体幹に意識を集中させる。  一般的な方法としては電気屋に行くことだろう。しかしそれは嫌。この学校なら対応してくれるかもしれない。しかし自分のPCがウィルスに感染しポルノ画像が表示されている、というのを教師に知られるのは避けたい。空もおしゃべりではあるがこういうことを言いふらす程野暮でもない。
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