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目を覚ますと彼はもういない。
行ってしまったのか。また、私を置き去りにして。
毎度の事だが自分は毎度のように胸の奥が重苦しくなる。
先程までの事が夢だったのかもしれない。
義父は帰って来なかった。彼を思うあまり夢をみていたんだ。
そうだったらどれだけましだったか。
しかし、熱っぽい体温と起き上がることすら出来ない身体中の痣や傷の柔らかな痛み。
これは全て彼がのこしていく紛れもない愛情。
突然私から姿を眩ます事実。
仕事があるから義父には仕事が‥
……
間
「あきら‥」
「……とぅさっ?!」
心配そうな顔をして顔を除く大好きな人。
動きにくい体を必死に動かしその人に触れる。
また涙が溢れ出てくる。
「なんで泣いてるのっ;まだ何処か痛い所あった?」
いつの間にか身体中の傷や痣は丁寧に手当てされていた。
「とうさん‥何でここに?」
「んうん?‥ずる休みかな」
動けない体を優しく抱き寄せてくる温かな腕。
「あと、3日かぁ」
「……?」
「せっかくだし今日は親子らしい事だけしよっか」
「親子らしい事ですか?」
「うん。俺のせいで晶の身体ぼろぼろにしちゃったし。‥晶の体第一だ…」
愛の営みの時のように優しく溶けてしまいそうなキスも体の傷も全て私にとって必要不可欠であって。
「んっ……親子ってキスするんですか?」
「するよ」
「そうですか」
「嫌?」
「嫌じゃないです」
「…じゃあもういっかい」
「はい」
それから何度も口付けを繰り返した。
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