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私は車に乗って夜の島を走った。
目的地は決まっている。
早瀬大橋だ。
この島に架かる本土への唯一の橋だ。
昼間見ると真っ白くて、大きな橋だった。
昔の記憶を辿る。
見えて来た―
今は、暗闇の中に街灯にうっすらとその姿を現していた。
私はその橋のたもとにある喫茶店の駐車場に車を止めた。
いや、店は既に潰れていた…
昔、両親に連れられてきたあの喫茶店…
あのホットケーキや、パフェももうない…
時間の経った事を身に染みて感じた。
余りにも島が変わらなかったのを見れば、潰れた喫茶店は自分の様に思えた。
私「大人にさえならなきゃ、あんな事無かったのかな…」
そう呟き、橋の真ん中を目指して歩き出した。
橋の欄干には花を置いてる場所があった。
ここは橋が出来てから、年に何人かが身投げをしている場所だった。
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