夢じゃない…

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その言葉を聞いてから彼はサザエを網の上に置いた。 そして、山の方へ行き、竹を一本折り、荷物からナイフを取り出して、器用に爪楊枝を作った。 猛「はい。」 私「あり…がとう…」 あぁ、この子はこういうぶっきらぼうな人なんだ… そう思った。 サザエは直火でもうジュージューと音をたてていた。 彼は網の間にさっきの竹を折り曲げて二カ所に挿し網を火から下ろした。 それを私がいるとこまで持って来て、 猛「ここじゃ汚れるけん上に行こうや。」 そう言って防波堤の上に行き、その上に網を乗せた。 猛「少し冷ましてから食えよ。」 私「分かった。」 なんかこういう人久しぶりに見た。 クス… 猛「なんかおかしいか?」 私「いえ。」 猛「ところで…」 私「何?」 猛「暑うないんか?長袖着てから。」 私は真夏と言うのに薄手だが、長袖のワンピースを着ていた。
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