女郎宿

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その女幽霊?は宙を睨んでいたかと思うと急に歩き出しました。 速度はゆっくりでした。 じっと見ていると、なんとコの字の廊下を沿って歩いてくるのです。 このままではこちらがわのトイレに来てしまいます。 しかし腰を抜かして動けません。 女幽霊は歩いてきました。 そして、コの字の縦線の宿題をしていた和室まできた時に突然スーと和室に入りました。 私はチャンスだと思い、自分に気合を入れトイレを出て中庭に飛び降りようと決心しました。(そんなに高くないし、夜遊びする時はよく飛び降りていたので) そして、ドアをソローと開けた瞬間でした。 女幽霊が和室から凄い勢いで飛び出てきました! そして窓越しに私の姿を見たとたん凄い勢いでこちらに走ってきました。 私は殺されると思い、窓を開けて大ジャンプをして飛び降りました。 着地に失敗しましたが、かまわず玄関に向かいました。 女幽霊が2階から降りてくると思ったのです。 私は外に飛び出すと、向かいの祖母の家に転がり込みながら 「おばあちゃん、おばあちゃん幽霊がくるー!」 と叫びました。 祖母は凄い勢いできてくれました。 私の異常な状態にすぐに気づいてくれたのか、玄関を閉めて私を引きずるように家の中に入れてくれました。 私は今みた事を震えながら話すと、やさしい祖母の顔が段々と険しくなっていきました。 そして、台所に行き塩の壷を持ってくると、私を連れてコの字の家にいきました。 祖母はダダッと二階に駆け上がり、物置部屋まで行くと中に向かって 「なにしよるんや! この子に手だそうとしたんか! この子に手だしてみぃ私が承知せえへんで! わたしの前に出てきてみんかい! 塩まいたるわ!」 と叫びました。 その時、部屋の中でガタガタと音がしてすぐにやみました。  
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