いじめ

10/17
前へ
/20ページ
次へ
「おっはよー」 私の背後から明るい声がした。 どこかで聞いた声だ。 姿を見て思い出した。運動会の時、声をかけてきた子だ。 「もう具合いいの?」 「こんな時期に風邪なんてついてないよね」 ああ、だから姿を見なかったのか。違う。私はクラスに溶け込もうとしなかったからか。 「この子、誰?転入生?」 「やっだ、なっちゃん!うちに転入生なんていないよ~。…幽霊じゃない? やーだ、こっわーい」 げらげら、けらけら笑う声が耳に残る。 教室から逃げるように飛び出して、私はぶつかりそうになった担任を睨み付けて学校から家に戻った。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加