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違う、という意思表示を込めて首を左右に振る。
「学校、行きたくない」
それだけ絞り出すのが精一杯だった。
それ以上なにか言ったら泣いてしまう。泣いたら、理由を咎められる。いじめられているなんて、いじめられるかもしれない、なんて、そんなこと、言いたくなかった。
「なら、行かなくていい。
その代わり、家のことをやること。掃除と洗濯、夕飯の準備をちゃんと出来るか?
学校に行けそうな日は行くんだ。その日は家のことはしなくていいから」
「できる……する……」
「それでいい。学校には明日お父さんから電話しておくから」
そんなにあっさりしていていいのか。
そんなに簡単なことなの?
複雑な思いではあったけれど、私には有難かった。
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