いじめ

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学校に行かなくていいというのは、私にとってはすごく楽なことだった。 今みたいに携帯があるわけじゃない。 マンションだから誰か来ても鍵を開けなければいい。 家のことをやって、教科書を読んで……毎日がその繰り返しだった。焦りがないかっていえば嘘だった。このままじゃいけない。そう思っていることも、あった。 そんなある日、姉から提案された。 みんなが登校してから登校して、みんなが帰る前に帰ったらどうだろう。 姉も必死だったんだろう。 私と双子というだけで迷惑をかけていないかだけが心配だった。だけど、その提案には乗れなかった。なんだか嫌な予感がしていたから。 「それ、香音の提案じゃないでしょ」 「……笆音のクラスの……」 「絶対に嫌!!」 同じクラスっていうだけで嫌だったのに。 姉が告げたのは、あの日、私に声をかけてきた女だったのだから。
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