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練習に出ないことに関してだけ言えば、担任は何も言わなかったし、クラスメートも別に何も言ってこなかった。多分、余所者の私が入ることをよしとしてなかったんだろう。
全体練習のときも、学年練習のときも、私は理由をつけては休んでいた。勿論、それが悪いことだとはわかっていた。わかっていても、一緒にいたくなかった。
運動会当日、体操着に着替えていた生徒たちが自分たちの椅子を持ってグラウンドへ集合する。それは私も知っていた。
副担任からは「一応椅子だけ持って出て。示しがつかないし。それだけしたらあとは救護テントにいてもいいから」とだけ言われていた。
だけど、私の椅子は教室にはなかった。
誰か持って行ってくれたなんてこと、有り得ない。だって、私には友達がいなかったから。
入場行進までに見つけなきゃ。
そんな焦りとは裏腹に見つからないようにそっとグラウンドへ出たら、すぐに見つかった。
グラウンドの片隅にある、壊れた水道の近くの泥の中に沈められていた。
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