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2時。玲奈はいつものようにこっそりと抜け出し公園に行った。しかし、そこには先客がいたのだった。
自分よりも年上と思われる男の人。男の子と言うのには大人っぽすぎる。その人は玲奈が来ても特に驚くわけでもなく真っ直ぐに玲奈を見ていた。
いつまでもブランコの前に立っているわけにも行かず玲奈はその人の隣のブランコに座った。
いつまでたってもその人は喋らない。玲奈はそーっと見てみると相手もこっちを見ていて目が合った。
『いつもここにいるの?』その人は言った
「はい」
『今みたいに1人の時間っていいよね』
玲奈は頷いた。
『なんていうか自分だけが起きてる、みたいな』
「私もそう思います」
しばらく沈黙が続いた。
「何歳なんですか」
『うーんと18だよ、君は?』
「15です」
『15か‥15?!って中学生か?』
「この間卒業しました」
『同い年くらいに見えた。俺もこの間高校卒業したよ。卒業して夜散歩してたら君にあったってわけ』
「私は毎晩来てますよ」
『敬語じゃなくていいよ。』
「分かりました!」
ハハッといいながら笑う彼は別に悪い人に見えず、人見知りの玲奈も初めて会ったとは思えないくらい気を張らずに話せた。
『自分だけ起きてるとか言ってたけど実際起きてる奴たくさんいるよな』と言って彼はまた笑った。
見た目はすごく冷めてるみたいな目をしていて気だるそうな雰囲気を纏っているのに意外にも笑い上戸なんだなと思った。
『明日もここくる?』
「行きます」
『じゃあ俺も行く、おやすみ』
「おやすみなさい」
そう言って今日は帰った。少ししか経っていない気がしていたのに時計は4時を回っていた。
親に気づかれるとマズい。
そう思いながらももっと話したいと思う自分がいた。今は春休みだから寝なくても明日寝ればいいのである。
そしてひっそりと家に入り、ベッドで何事もなかったかのように寝たのだった。
その夜はすごく幸せな夢を見た。何かに包まれているような、そんな夢だった…
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