第1章:少年

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赤城さんの手には大きな正方形の箱が1つ。 「今からお前らが住むことになる学生寮の部屋割りを決める。箱の中にあるクジに書いてある番号がお前らが、これから1年間住む部屋になる。」 そういい手に持っているクジ箱を軽く振る、赤城さん。 それによって、カサカサといった紙と紙とが擦れあう乾いた音が、出番を待っているかのように発せられる。 クジは出席番号順に引くらしく、俺の名字は神崎。つまりはカ行のため順番は直ぐにまわってきた。 クジを引いた他のクラスメイトは仲の良い友達と近くになって喜んでいたり、逆に離れてしまって嘆いていたりと、各々が様々な感じ方をしている。 俺は誰の近くがいいとか、そんな要望は特に無かったので箱の中に手を突っ込み、箱の中のクジを適当に1枚選んでから引く。 プリントを小さく切ったからだろう不格好な紙の切れ端には、ボールペンでこうかいてあった。 《3階…197号室》と。 3階っていうと…最上階の部屋だったな。 俺は黒板に小さな丸いマグネットで貼り付けられているカラーで分かりやすく作られた学生寮マップに流れで目を通す。
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