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見れば197号室はエレベーターのすぐ近くの場所に位置しており、なおかつ陽当たり良好と…自分で言うのもあれだけど、不幸な俺には勿体無いものだった。
要望が無かったくせに、学生寮の中で結構良い部屋に決まってしまった俺。
これはガッツポーズをせずにはいられなかった。
「何だ何だ?良い部屋にでも巡り会えたのか栞。」
そんな俺の所に、クジを片手にやって来た俊。
まぁ、無言でガッツポーズをしてれば誰にでも俺が良い部屋に決定したということくらい、容易に推測できるだろう。
「ああ、俺にとっては高級スイートルーム並の部屋だったよ…俊は?」
「俺?俺は2階の180号室。しかもスゴいんだぞ~、驚くなよ?なんと、エレベーターじゃなくて緊急用の階段の近くにあるんだ!だから安全性抜群なんだ!」
「お前のポジティブな考え方に驚いたわ。」
俊みたいなスーパーポジティブマン、少なくとも今までの俺の人生のなかで該当する人はいなかったと思う。
「そうか?ま、とにかく暇なときは遊びに行くからその時は宜しく!」
俊は俺の肩を軽く叩いた後に踵の部分が踏んづけられている上靴を、はいたまま自分の席に戻っていく。
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