第1章:少年

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俊と同様に俺も自分の席に戻って座ると、それに合わせるようにクラスの全員がクジ引きをやり終え、そのまま全員が着席した。 赤城さんは、途中で寝てしまったんだろう。 暫くは荒い寝息をたてていたが、教室が静かになったことに遅れて気付いた彼は、口元からよだれをたらした状態でガバッ!と起き上がる。 「ん…ぉお…終わったか。」 あくび混じりに確認をとる赤城さん。 取り敢えず確認をとる前に口元のよだれを何とかしてください。 俺の(クラスの皆が思ってたかもしれない)考えていた事が通じたのか、赤城さんはヨレヨレの黒いスーツの袖でグイッ!とソレを拭き取る。 赤城さんにとって、黒いスーツの袖はハンカチ同然のものなのだろうか。 さて、よだれを拭いた彼は教卓の中をゴソゴソとあさりだしたかと思えばプリントの束を取り出した。 「起きたら思い出したわ。このプリントに新入生歓迎会の内容があるらしいから各自、目を通しておくように。」 そういいプリントを手渡ししていく赤城さん。 プリントの収納の仕方が雑なせいだろう。 彼から渡されたプリントは所々がしわくちゃになっている。
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