第1章:少年

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「だぁぁぁっ!何で今日に限って寝坊すんだよ俺ぇぇっ!?」 茶髪に金色の瞳をした俺こと、神崎 栞は今日初めて着た制服をなびかせながら絶賛遅刻街道まっしぐらであった。 入学式という記念すべき高校生活最初の登校日から寝坊してしまったあたり、俺の常日頃の運の無さが身に染みて分かった。 というか、入学式から遅刻したら…俺ってどうなるんだろ? 多分…というか、きっと先生方から熱い指導を受けることになるだろう。 そのせいで教師陣のブラックリストにのり、周りからは不良生徒と評され、誰にも話しかけられずに孤立して寂しい3年間を…。 「って嫌だ!?そんなダークネスな高校生活絶対に嫌だ!?」 俺は制服の下に着ているYシャツが汗で汚れる事も気にせず、ただただダークネスな高校生活を阻止するために、必死に走り続けた。 腕につけてきた安物のデジタル時計をチラリと確認すると、時刻は8:10。 「(何とかなるかも!)」 俺は口元を緩めて、そんなことを思った。 しかし、直後に残酷な現実が俺の動きを止める。 分かりやすく言えばたった今、目の前の信号が赤になったのである。
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