739人が本棚に入れています
本棚に追加
「赤城先生。」
若い教師に変わって現れたのは、どうせなら全部切っちゃえば良いのにというくらいの情けない頭をした小太りの中年男性。
「何スか教頭?」
赤城は声のした方など見もせずに、そのまま新聞を読みながら自分より立場が上の教頭に対して呑気な返事をする。
そんな赤城の態度に腹をたてた教頭は顔を真っ赤にして、赤城から新聞を取り上げる。
「少しは真面目に働かんか!君は担任なんだぞ、ちゃんと自覚位してもらわんと困る!」
教頭は言うなり、取り上げた新聞片手に職員室を出ていく。
「…めんどくせ…。」
赤城はゲンナリとした顔をしながら、仕方ないといった感じで机の上に放り投げてある生徒名簿を手に取る。
そのまま、順々に生徒名簿を確認していく赤城。
すると、パッパッと手早く適当に生徒名簿を見ていた赤城の手が急にピタリと止まった。
「こいつは…。」
彼は生徒名簿に書かれていた種族を、右手の人差し指でなぞりながら間違いがないか今一度、確認する。
そこには漢字3文字で、こう書かれていた。
「…“吸血鬼"だと…?」
最初のコメントを投稿しよう!