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「……」
学校から大分離れた所にある(というかわざわざ家から遠い学校を選んだのだけど)、自宅の門扉をくぐったら、
「「「「お帰りなせぇやし!!」」」」
……と、野太い男たちの声が出迎えてくれた。
「……ただいま」
私は小声でそれに応じ、庭園の広がる砂利道を玄関まで通り抜けた。
屈強な男たちが左右に並んでいるのは……もう慣れた。
男の花道(?)を通り、日本家屋の扉を引き開ける。
「お帰りなさい、光さん」
ピシャンと。
閉めた。
「光さん?開けなさい?」
中から扉を開こうとする力に、私は全力で対抗した。
開けさせてはならない。
というかいっそ見なかったことにして今すぐ逃走したい。
まだ水島と対峙してた方がマシに思えてきた……
「開けなさいば光さん、開けなさ……」
ちっ、と。
舌打ちの音が、聞こえた。
「……いいコト光さん、一秒以内に扉を開けなさい。さもなくば貴方の手の指を」
「こんにちは叔母様お久しぶりですお元気でしたか本日は実にいいお天気ですねわざわざご足労ありがとうございます」
静かに吐かれた脅しの言葉に、私は振り返って即座に扉を開け深々と頭を下げた。
「よろしゅうございます。お元気にしてはりましたか?」
穏やかな声が降ってくる。
ゆっくり顔を上げると、艶やかな着物姿の女性。
私は顔が引きつるのを抑えきれなかった。
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