二章・黒いヒト

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   美咲と私は暫し見つめ合った。  美咲は相変わらずの微笑、私は―――多分、無表情で。  互いに目を逸らすことはない。  ただ黙って、時間を共有している。  もしも母親からの夕食を告げる声がなかったら、どちらかが疲れて眠ってしまうまで見つめ合いは続いていたかも知れない。  夕食の席には普段の4人(父母と美咲、そして私)以外に月子さんと秋野さんが増えていて、月子さんに執拗にからかわれた私がついに箸を(文字通り)投げてしまい、それが壁に突き立ったせいでまた一波乱起きたりしたのだけれど―――それは、まぁ、別の話だ。    
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