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「「「「おはようっ、各務さん」」」」
「…………………………おはよう」
重い気分で足を引きずりながら登校してきた私は、不覚にも一瞬目を丸くして立ち尽くした。
私の机の周りにいるのは……例の5人組。
その5人が、教室に私が足を踏み入れた瞬間、にっこりと満面の笑みを浮かべてこちらに手を振ったからだ。
なんだろう、いじめの路線を変更したのだろうか。
「実はさー、あたしたちホントは前から各務さんと仲良くしたかったんだー」
……違った。
よく見ると彼女たちの中に、水島の姿だけがない。
「各務さんて格好よくてカワイイしー、ホントは憧れてたんだよぉー」
―――虎の威を借る女狐達。
そんな言葉が脳内を過った。
どうやら水島の次は、私が“虎”らしい。
なら、水島は―――?
(……いた)
窓際後ろ、自分の席に水島は座っていた。
一人で。
『独りだって全然平気よ』って顔をして、頬杖ついて外を眺めていた。
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