三章・昨日と今日

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      「「「「おはようっ、各務さん」」」」 「…………………………おはよう」  重い気分で足を引きずりながら登校してきた私は、不覚にも一瞬目を丸くして立ち尽くした。  私の机の周りにいるのは……例の5人組。  その5人が、教室に私が足を踏み入れた瞬間、にっこりと満面の笑みを浮かべてこちらに手を振ったからだ。  なんだろう、いじめの路線を変更したのだろうか。 「実はさー、あたしたちホントは前から各務さんと仲良くしたかったんだー」  ……違った。  よく見ると彼女たちの中に、水島の姿だけがない。 「各務さんて格好よくてカワイイしー、ホントは憧れてたんだよぉー」  ―――虎の威を借る女狐達。  そんな言葉が脳内を過った。  どうやら水島の次は、私が“虎”らしい。  なら、水島は―――? (……いた)  窓際後ろ、自分の席に水島は座っていた。  一人で。 『独りだって全然平気よ』って顔をして、頬杖ついて外を眺めていた。  
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