三章・昨日と今日

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   私の周りでは、未だにずっとあからさまなおべっかを使う『優美と佳苗と愉快な仲間たち(仮)』が何事か喚き続けてる。 「でさぁ、各務さんはー……あ、ねぇねぇ、光って呼んでいい?」  よくない。 「うちらのことも下の名前で呼んでいいからさぁー」  そもそも私は、あなたたちの誰が誰だかほとんど見分けがつかないから。  というか、名前も知らない。 「ね?仲良くしよ、光っ」  ……呼んでいいとは、一言も言ってないのだけれど。  私が呆れ返って言葉を失っていると、愉快な仲間たちはいいように解釈して、尚も勝手に話を続けていく。  彼女たちの言動の端々には、『いじめられっこがこんないい待遇を受けてるんだから、まさか文句はないだろう』といった、優越感にも似た上からの目線が垣間見えていて、至極気分が悪い。  一方的に押し付けられる、好意だなんて言えない行為。  冗談じゃない。  吐き気がするわ。  
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