三章・昨日と今日

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   悪意に敵意、それから害意。どれも人間の持つ暗い感情だ。  これはきっと、優美や佳苗たちからの。  他にもだ。  クラス中から視線が突き刺さってくるのが解る(何しろ私の席は最前列、教卓の真ん前だ)。  なかでも、優美や佳苗たちからの視線は最上級に強い。  普段は無関心を決め込み、私が遭っているいじめにも見向きしなかった他のクラスメイトからも、好奇と下世話な興味の混じった目が向けられている。  元々視線には敏感だ。  ましてやこれだけの目を集められていれば、嫌でも気付く。 「……」  そんな視線は全て無視しようと決め、右から左へと担任の声を聞き流しながら、ファイルに挟んでいる時間割りに目をやって今日の日程を確認した。  うげ。朝から体育がある。  
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