三章・昨日と今日

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   私は別に運動神経が悪いわけでも、体を動かすことが嫌いなわけでもないが、学校の体育は好きじゃない。  なんとなく、だけどね。  そもそも、運動神経に評価を付けられるっていうのが気に食わない。  だから私は、同じ理由で美術の類もあまり好きじゃない。 「気を付けー」  日直の声がして、私は適当に居住まいを正した。  教師の真ん前だろうと、それなりに背筋を伸ばしていれば見咎められることもない。 「礼」  これもまた同様に、適当に会釈しておく。  今日も別段注意されるようなこともなく、無事に朝のSHRは済んだ。  それにほんの少し安堵したようなフクザツな心境に陥りながら、私は立ち上がった。  クラスの男子が一斉に立ち上がり、わあわあ言いながら体操着片手に教室から出ていくのが、視界の端に見えた。 「面倒……」  だけど、授業に出ないわけにはいかない。  仕方なくため息をつくことで諦めて、着替えを始めた。  ……その間も、私は視線が刺さるのを感じていた。               
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