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雲一つのない、よく晴れた春のとある日曜日。
屋上にて、二人の少女が他愛もない話をしていた。
フェンス越しに………
「ねぇ、リン。自堕落って、浸り過ぎると優越感に変わってくるんだってぇ。」
フェンスの内側で、フェンスの淵に頬杖をつき、ぬぼーっと空を見上げる少女、ミクは言った。
「フフッ、そうだね。ハァ、今日は風が気持ち良いよ。優越感とマッチしてくる感じに歓喜の情が湧いてくる。」
フェンス外で、フェンスに寄り掛かる少女、リンは、ミクの言葉を鼻で笑い、返事をした。
「らりぱっぱー」
「………は?」
「くだらないって意味。今私が勝手に作った。」
「あ、そっ。」
訳の分からないミクの言葉に、素っ気ない言葉を返すと、足元を見た。
ぞくりと、リンの背中に冷たいものが走った。
落下するときに障害になりそうな木やら屋根やらは何もなく、このまま宙に舞えば、確実に地面に叩きつけられるだろう。
そこで、リンはようやく、ミクの言いたいことを汲み取った。
「くだらないって、今からうちがやろうとしてること?」
「…………」
ミクは、何も答えなかった。
そしてリンは、自殺志望者であった。
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