2人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、綺麗な月だった。
紅く円い月は吸い込まれそうな程、綺麗で・・・。
月城唯(つきしろゆい)は、自宅の窓から夜空を眺めるのが好きだった。
産まれた頃より15歳の今も病弱で、自室が生活の全てだった。
そんな少女を両親は憐れに思ってか、人形を買い与え部屋は人形で溢れていた。
ベッドも天涯付きで、全体的に可愛らしい少女に合う様なお姫様を夢見る部屋で、部屋着もお姫様のドレスの様なヒラヒラした衣装が唯に似合っていた。
そんな唯は、特に月を眺める事が好きだった。
だが、今宵の月は何かが違う。
唯の中の血が、ざわめく。
最初のコメントを投稿しよう!