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まるで同じ場所を巡っているようだった。
どこを見渡しても、ただ木が鬱蒼(うっそう)と生えている。
今はもう日が登っているはずだというのに薄暗く、八月の半ばで夏真っ盛りの太陽の季節だというのに、鳥肌が立つほど空気は冷えていた。
(立ち止まってはいけない。)
荒い息を繰り返し、喉や額にべっとりとした汗をかき、張り付く少し長めの前髪を払いながら、一人見知らぬ森を駆ける。
少年の名は野山剛太(ごうた)。
今年中学二年となった彼は、この町に越してきたばかりで土地勘は無く、どうしてこんな森に迷い込んでしまったのかと後悔ばかりが頭に浮かぶ。
いや、迷い込んだのではない。
誘い込まれたのだ。
ぱきり。
後ろで木の枝の折れる音が鳴る。
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