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人と関わる事が嫌いなだけで、外の空気が嫌いな訳ではない彼は、散歩がてら近くの川沿いの道を早朝に歩いていた。
人気のない、夏の暑さも和らぐ時間帯。
「あ。」
思わず口から出た言葉だった。
目線は彼の目の高さよりも上の虚空をさ迷う。
だが、すぐに目線を下ろし、履いていた青い運動靴が重いかのように足を引きずり歩き出す。
目深に被った帽子をさらに深くするように帽子のつばを下げた。
「へぇ、君、見えるんだあ。」
突然の声に驚き、勢い良く声の方に目を向ける。
「おはよう。君、ここら辺の子じゃないよね?」
警戒するような視線を向ける剛太を気にも留めず、目の前に寄ってきた同い年位の少女は、興味深げな視線でにこやかに話かける。
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