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だから剛太は学校に行けなくなった。
「私もね、行ってないんだ、学校。剛太君も行きたいなら、絶対この事を気付かれてはいけないよ?」
「うん、良く分かってるよ。今度は上手くやる。」
早朝の川縁で時々並んで話すようになっていた。
剛太も魅夜も人と関わるのを得意としなかったから、人通りの少ない早朝は都合が良い時間帯だった。
「それから、もう一つ。この町には気を付けなければいけない事がある。」
真剣な面持ちで、ピンク色した唇に白い人差し指が添えられる。
まるで内緒だよ、と言われているような仕草に、剛太は妙にどぎまぎしていた。
「気を付けなければいけない事?」
「そう。見える者だからこそ、気を付けなければいけない事。」
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