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「じゃあバイバイ、リリア。」
「バイバイ、彩乃。」
私は彩乃と別れると、1人夕方の街へと歩きだした。
特に目的があるわけではないけど、誰もいない家に戻るのが嫌だった。道行く人は私を見て笑う。そりゃそうだ。金髪気味の茶髪に青っぽい瞳、誰もが笑い、誰もが注目する。でもこんな容姿だけの注目なんて…嬉しくない。
あてもなく彷徨っていると、いつのまにか夜の街に変わっていた。するとふいに後ろから声をかけられた。
「ねぇねぇ、君1人?かわいーね?一緒に遊ばない?」
「いえ、大丈夫です。」
その場から去ろうとすると、手首を掴まれた。
「冷たいこと言うなよー、ねぇ君、名前は?ってか君、日本人?」
「離して…下さい。」
「ねぇねぇ、教えてよ。」
強く掴まれた手からは逃れられなかった。今さら、彩乃の言葉を信じればよかったなんて思い、泣きそうになっていると、
「何してんの?滝朱河。」
「呉島くん…。」
そこにはオレンジの光を感じたあの、呉島くんが立っていた。
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