友達のオレンジ

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「あ、ごめん。お金はらうよ。」 「別にいいよ。おごるのは普通でしょ。」 「でも…。」 「気にすんなって。」 「ありがとう…。」 この前と同じで、呉島くんは夏みかんジュースをくれた。 カタン と呉島くんは私の隣に座った。 男子と二人きりなんて、いつぶりだろう…。 「滝朱河ってさ、もてるよな。」 「えっ?そんなこと…ないよ。」 「でもさ、手紙もらってたじゃん。あれってラブレターだろ?」 「でも…みんな知らない人だから…。」 「誰かと付き合ったりしないの?」 「中学校までは男子って私をからかうだけの存在だったから…。苦手なの。」 「からかうって…何で?」 「私、変な名前だし…髪も瞳も、みんなとは違う色だし…あと…」 「あと…?」 「ううん、何でもない。だから、みんな私を見て笑ってた。」 「ふーん…。俺は綺麗だと思うけど?その髪も瞳も。それに、名前なら俺も変だよ?」 「えっ…。」 「橙夏だぜ?橙夏。まるで女子じゃん!」 「そんなことないよ。」 「その点、滝朱河は女子っぽい名前でいいじゃん。俺ももっと男らしい名前がよかったな。」 「橙夏って名前、かっこいいよ!それに、誰ともかぶらないし…。」 「それなら滝朱河だって同じだろ?」 「そうかな…?」 「そうだよ。俺は聞いたことないよ。」 「そっか…。」 「チャームポイントなんだから堂々としてなよ、な?」 「…うん!」
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