はじまりのオレンジ

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私は恋とかそういう感情はよく分からない。 「そんなにモテるのにもったいない。」 なんて彩乃は言うけど分からないものは分からないんだもの。 小学校、中学校時代は男子なんて私をからかう存在でしかなかったわけだし、恋なんて感情が分かるチャンスなんてなかった。 「まぁいいや、帰ろリリア。」 「うん。」 校舎を出ると、門の前には左に男子、右に女子が集まっていた。まるで出待ち、これのおかげで私と彩乃は一躍有名人になった。そしてこの出待ちを通り抜けてからじゃないと帰れないのが私たちの日常になりつつある。 私たちの姿が見えると、集まっていた男子は私のところに、女子は彩乃のところに走って来た。 「滝朱河せんぱいっ、好きですっ。」 「滝朱河先輩、メアド交換して下さいっ。」 「先輩っ、1日だけデートして下さいっ。」 こんな言葉が飛び交う。 一方彩乃は 「彩乃せんぱいっ、クッキー作ったんですっ、食べて下さいっ。」「彩乃先輩、大好きですっ。」 「憧れなんですっ、デートして下さいっ。」 彼女、高村彩乃は1年生にして女子バレーボール部のエース、試合を見に行ったことがあるけど、アタックは強烈でエースのオーラが見える。 ショートカットは似合っていてスタイルも抜群。女子から見ても超カッコいい。誰もが惚れる美人。 おかげで他校の女子からよく告白されてる。まぁさっぱりした性格で対応してるからファンを増やしてるだけだけど。
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