出会い

10/12
前へ
/12ページ
次へ
そう言って出てきたのは銀色の髪をした背の高い男。 『よう、<ブレット>の総長さん?俺は<シアンブラッド>の総長。銀狼って呼ばれてる。.........お前も聞いたことあるだろ?』 (銀狼........シルバーウルフか、確か卑怯な真似して族を潰すことで有名な奴だ。その標的が俺達ってわけか.....) 「あぁ、知ってるよ。ズルしてしか勝つことのできない弱小チームだろ?」 俺は少し小バカにした様な、笑いを含めた言い方で罵った。 (さて、こいつらはどう出てくるかな........) 『フフ、ハハハハハハハ!!いやあ、この状況においても動じないとはさすが。..........うん、なかなかいいな。お前.....』 銀狼はこちらに近づき俺の顎を持ち上げた。 「.........触んな、離せ」 『こーーんな綺麗な顔してんのに、吐き出す言葉は汚いな。な、光國?』 「俺の名前を呼ぶな。一体お前は何がしたいんだ....」 俺がそう言うと、銀狼はニタァと怪しい笑みを浮かべ、俺にこう言った。 『俺はなこういう綺麗な顔をした奴の歪む表情が見たいんだよ。今回はかなり大物だよなァ、お前の憎悪の表情が見れるんだぜ?嬉しくて笑いが止まらねぇわ、クククッ ......』 銀狼は顎に添えていた手を頬に持っていきギュッと頬をつかんだ。 痛さに顔が少し引き攣った。 『いい顔だ..........でもお楽しみはこれからだぜ?..............おい、お前らそこのカーテン開けろ。』 その銀狼の言葉にちょうど俺の右側にある黒いカーテンがひかれた。 「っ!?」 (..........ウソだろ..........) 目の前には傷だらけで縛られている凛音たちの姿があった。 見るに堪えない光景に思わず唇を噛んだ。 「っ、凛音!祥也ァ!ろんっっ.............」 俺が大声で名前を呼んでも誰も返事はしてくれない。 俺の目にはいつの間にか涙が溜まり、血が浮き出るほどに唇を強く噛んでいた 『そう、それだよ.......俺の見たかった表情〈カオ〉は!!』
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

296人が本棚に入れています
本棚に追加