『キョウ』怖

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――――――――――――  冬の日本。ここは国内のどこかにある雪山。そんな寒い場所の一角に,普通に人が暮らせそうな1階建てのログハウス―――――山小屋が建てられていた。  冬の間だけ,そこにその"男"は潜伏していた。  夜, 「親方,新しいカモが来ましたぜぇ。それも美人が3人も!!」  一人の発言からして"部下"と思われる男が,双眼鏡を覗きながら嬉々として言った。 「そうか…。ちょっと貸してみな。」 親方と呼ばれたその"男"は部下の男から双眼鏡を取り,部下と同じように覗き混む。 「なるほど…。確かにあれは美人に分類される顔だわなぁ。まぁオレ達にゃあ美人だのイケメンだのどうでもいいが…。」 男は率直に述べると双眼鏡を部下に返し,ダウンジャケットの胸元を軽く叩く。中に入っている愛用のサバイバルナイフを鼓舞するかのように――――――。 「さぁて,今夜の狩りも楽しめるかな…?」 そう言った男の顔には黒い笑みが浮かんでいた。  男は狂っていた。  一見どこにでもいそうな普通な感じ(顔はイケメンに分類される)で,普段の行動や発言,仕草から口調に至るまで,「分かる範囲」では正常だった。  だがこの男は狂った趣味を持っていた。
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