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何も変わらない。
そう考えるとため息がでる。
父さんに負担をかけるのも変わらない。
体調不良も変わらない。
クラスに居場所がないのも変わらない。
僕って…何の為に生まれたんだっけ?
良いところ何て無いのは分かってるんだ。
「咲哉くん?どうかしたの?」
どうやら僕のため息が聞こえていたらしく、鈴村先生が心配そうな声を上げた。
カーテン一枚の頻りなのだから当たり前か。
「いや…、そろそろ帰ります」
僕はのそっと起き上がって、自分の鞄を手にした。
「お腹は?」
入ってきた時からお腹を押さえていたので腹痛だと解っていたらしい。
思えば保健室に来てから少し痛みが和らいでる気がするな。
「少し良くなりました」
「そう、お父さ…家の方に電話しておこうか?」
やっぱり、お母さんが亡くなった事くらい既に知っているんだ。
わざわざ濁してくれたみたいだけど、逆にそれが僕の気分を落胆させる。
お母さんは厳しい人だった。
だけどその分優しくて、ハンバーグが上手で、少しおっちょこちょいで。
そんな所も含めてお母さんご大好きだった。
詳しい死因は知らないけど事故死って聞いてる。
だから僕はお母さんを死なせた奴を、決して許すことはないだろう。
結局、何処の誰かなんて知らないわけだが。
「いえ、大丈夫です」
「そう?じゃあ気を付けて帰りなさいね」
「はい、失礼しました」
明日もこなくちゃならないのか。
面倒くさいな…。
そんな事を考えながら半年前のいつもの様に、僕は帰路を歩き始めた。
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