第二章ーチョコレートの匂いー

2/6
前へ
/13ページ
次へ
眩しい朝日がカーテンの隙間から射し込む。 「う…ん」 眩しさに耐えきれず、体を起こした僕は徐々に意識がはっきりとしてきた。 あれ? 今何時だ? 慌てて携帯を開いて時間を確認する。 時刻は午前11時を過ぎた頃だった。 完全にやってしまった。 遅刻だ。 しまった、という気持ちは有りながらも急がず準備に取り掛かるのは、保健室のみに顔を出す予定だからである。 昨日帰ってすぐ寝たせいで制服にシワが出来てしまった。 起きた時に掛けた覚えのないタオルが布団代わりにかけてあった事から、父さんの存在が頭に浮かぶ。 多分、もう仕事に出掛けたんだろうな。 顔を洗ってテーブルに目を向けると、何やらお皿が置いてあった。 父さんだ。 トーストが作ってあり、その横に置き書きがあって起きたら食べる様にとあった。 だけどぶっちゃけ食べる気が起きない。 適当に冷蔵庫からジュースを飲み干して、僕は学校へと向かった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加