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最初の印象は、私……遠藤真帆と同じ苗字の人がいる、というだけ。特に何もなし。
いつも変なポーズを決めながら、ヒーローになりたいとか言っていて、正直ついていけない。苦手な人だと思っていた。
しかし、いつからだろう。彼の真っ直ぐで純粋な部分に、どうしようもなく惹かれ始めたのは。
目の前のリアルを必死に生きて、汗を流して突き進む。
そんな人間は、ネットの世界にはいなかった。
あの空間にいるのは、私みたいに全てを諦めて大人ぶっているエセニヒリストと、他者を貶めて自身の心の安寧を得ようとする身勝手な人間ばかり。
むしろ彼みたいな暑苦しい人間は淘汰されてしまうだろう。
しかし、そんな雑音など跳ねのけてしまうほどのエネルギーを彼は持っている。
それが、どうしようもなく眩しいのだ。
「ほら、行くぞ」
そう言って、彼が私の手を引く。
その瞬間に、ふわりと漂う汗の香り。
あ、だめ。
溶けちゃう、堕ちちゃう、狂っちゃう。
どうして彼は、こうも私の心をかき乱すのだろう。
こんな感情、知らずにいれば、幸せだったのにな。
「ん? あれは……和美―っ!」
不意に、その視線の先にとても大事なものを見つけて、彼は私の手を離して走り出す。
予想通り、私の甘い時間はすぐに終わりを告げた。
それも、最悪の形で。
「てめえらー! 何してるんだー! 和美に手を出す奴は、この遠藤長太郎改め、武装戦士・遠藤超太郎(スーパータロウ)が成敗してくれる!」
スーパーなタロウさんは、何やらかっこよくバク転なんかを決めながら、複数の男子生徒に囲まれる橘和美の許へと駆け寄っていく。
彼女は、私の親友。
――そして、彼の恋人なのだ。
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