第三章:ヴァンパイア様

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「……どうしても教えてはくれないのですか」 「あぁ」 「これっきり会えなくなったらと思うと不安なんです」 そう。不安なの。 だから…… だから…… 「教えてくださるまで帰しませんっ!」 「はぁ?」 「げ、玄関にホースで水流しちゃいますから!!」 ヴァンパイアの弱点のひとつで、ヴァンパイアは流れる水を渡ることはできない。 「アパートの住人には申し訳ないですが、全力で謝る覚悟はできていますからっ!」 「……他人の血で生き長らえてる俺が言うのもアレだけどさぁ。 他人に迷惑をかけちゃダメだよ」 「わ……わかっています!ですが、ここは譲れませんっ!!」 ヴァンパイア様がとことん呆れたような顔をする。 「呆れた」 あ、言われちゃった。
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