第三章:ヴァンパイア様

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「あー……、まぁ客に消えた瞬間見られたわけじゃないし、数年に一回くらいは仲間内で召喚される奴いるから、オーナーに事情話せば済むから別にいいよ。俺は召喚されたの初めてだけど」 あぁ。 ヴァンパイア様、なんとお優しい。 「あのっ、ありがとうございます……。 あとっ……、お約束します。 もう召喚はいたしませんし、ヴァンパイアカフェへ行っても迷惑はかけないようにしますっ! だから、だから…… 美女になって血を吸っていただけるよう頑張りますから……! 接点を断ちたくないのです。 お店にお客さんとしてお伺いしてもよろしいですか?」 かなり切実。 だからこそ、この願いを断られるのはとても怖い。 あぁ。さっきまでは穴が空いてしまうのではないかと思うほどヴァンパイア様の顔を見れていたのに。 どんな表情をしているか知るのが怖くて顔を上げられない。 両手でギュッと握りこぶしをつくり、スカートを掴む。 こうでもしていないと震えているのがバレてしまいそうだから。
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