第三章:ヴァンパイア様

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ヴァンパイア様はまだ何も答えてはくださらない。 この沈黙がこわい。 ヴァンパイア様の天敵である神に祈ってしまいそうになるほど。 「……俺、白いワンピースが似合う子が好き」 ……え? 「ヴァンパイア様、それって?」 「迷惑かけないっていうなら、客は選ばない。好きにすれば。 じゃあ、そろそろ仕事戻るから。 またな、オカルト」 そう言ってヴァンパイア様は玄関に向かい、私の部屋から出て行ってしまった。 ………… またな、だって。 あんた、じゃなく、オカルト、って。 白いワンピースが好きなんだぁ……。 「えへへ」 やばい、頬が緩む。 ヴァンパイア様、私、白いワンピースの似合う女の子になってみせますね。
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