133人が本棚に入れています
本棚に追加
─────雨
ザァァァァァと雨の降る音がする。
「ちょっと、銀さん!!
お客さん来てますって!!」
雨の日に来る客なんてろくな依頼じゃねぇんだ。
振り向けば三十代半ばの女がソファーに座り、不安そうな顔で俺を見る。
「銀ちゃんどうしたネ。
依頼アルヨ。」
神楽も新八も不思議そうな顔で見る。
俺は怠い身体を動かし、社長椅子からソファーへ移った。
「…で、依頼って何です?」
差し出されたのは一枚の地図。
「……ここの村まで案内して下さい。」
神楽は地図を受け取り、眺める。
「結構遠いアルナ。
銀ちゃん、ここの村分かるアルカ?」
俺の手に地図が渡り、俺は視線を地図に移した。
「私の母がこの村に住んでるんです。」
「へー、里帰りみたいな感じなんですね。」
「えぇ。」
新八と女の話なんか耳に入らず、地図に釘付けになる。
────────この村は…
餓鬼の頃居た…俺の、村。
ドクンッと心臓が波打つ。
最初のコメントを投稿しよう!