罪の雨

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─────雨 ザァァァァァと雨の降る音がする。 「ちょっと、銀さん!! お客さん来てますって!!」 雨の日に来る客なんてろくな依頼じゃねぇんだ。 振り向けば三十代半ばの女がソファーに座り、不安そうな顔で俺を見る。 「銀ちゃんどうしたネ。 依頼アルヨ。」 神楽も新八も不思議そうな顔で見る。 俺は怠い身体を動かし、社長椅子からソファーへ移った。 「…で、依頼って何です?」 差し出されたのは一枚の地図。 「……ここの村まで案内して下さい。」 神楽は地図を受け取り、眺める。 「結構遠いアルナ。 銀ちゃん、ここの村分かるアルカ?」 俺の手に地図が渡り、俺は視線を地図に移した。 「私の母がこの村に住んでるんです。」 「へー、里帰りみたいな感じなんですね。」 「えぇ。」 新八と女の話なんか耳に入らず、地図に釘付けになる。 ────────この村は… 餓鬼の頃居た…俺の、村。 ドクンッと心臓が波打つ。
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