133人が本棚に入れています
本棚に追加
「………まだ、居るんですって。」
「??」
女はクスリと不気味に笑った。
「〝鬼〟がまだ居るんですって。」
────────ドクンッ
「さっ、準備出来たアルヨ!!」
「じゃあ出発しましょうか。」
二人は旅行気分なのかウキウキしていた。
「えぇ。」
俺が大嫌いなあの村へと出発した。
「はるかのマミーってどんな感じアルカ?」
暫く歩くと、神楽は磯村に聞いた。
「母は優しくて、笑顔が綺麗なんです。
父は昔殺されたんですけどね、母はそれでも泣かないで笑うんです。」
「え…、強盗とかに殺されたんですか?」
磯村はフルフルと頭を横に振る。
三人の後ろを歩く俺は冷や汗が流れるのを必死に耐えていた。
まさか…。
「五歳に満たない子供に殺されたんです。」
「─────っ!!」
やっぱり、俺が殺ったんだ絶対。
顔も何も覚えてないが、俺が殺った。
「私の村には鬼狩りと呼ばれるものが昔あったんです。
鬼は五歳に満たない小さく、奇妙な容姿だったんですよ。
村から迫害された鬼を退治しに、色んな侍が山に逃げた鬼を殺そうとしに行ったんです。
………勿論、父も。
鬼の剣術は強く、生きて帰って来た人は一人も居なかったんです。」
ガタガタと手が、足が震える。
最初のコメントを投稿しよう!