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「いらっしゃいませ~ 」
仕事帰りにこの書店に立ち寄るのがあたしの日課。
「あのシリーズ、新しいの入りましたよ」
お馴染みの店員さんから声をかけられる。
「あ、そうなんですね!」と応えながら店内を見回す。
(あ、来てる…)
毎日訪れているあたし同様、この書店ではお馴染みの彼。
色白でスッとした佇まいの彼はいつも静かに本を選んでいる。いや、立ち読み?いや、いや、ちゃんと買ってる。あ、動いた…帰るのかな…あ、雑誌か…。
ふと目が合いそうになってちょっぴり不自然に目を本におとす。
(ヤバイ~、ドキドキする~!)
こんなに『乙女』なあたしは来月、30歳の誕生日を迎える。
普通の高校を出て、普通の短大を出て、普通のOLになった。
恋人がいなかった訳じゃない。
そこそこ修羅場もくぐって来てたりする。
でも彼氏イナイ歴は…
あれ?何年だっけ?
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