ACT──────1

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まあ要するに、夜中ウロウロするはた迷惑な通り魔さんのおかげで、暗くなってからはめっきりと通行人が減り、家路を急ぐ塾帰りの学生やサラリーマンの数も、ここ数日見かけることもなくなってしまった。 そのおかげか、夜も深くなると街の賑わいや、暗闇よりも規模の大きいネオンの明るさなどは大して意味も無く、街中は無人かと見紛うほど静まり返り、夜を追われた人間は建物の中に避難するか、時折巡回するパトカーを見て安心するかである。 街が明るい分、住民も安心できるがしかし、光があれば影もできるわけで。 街の神々しいまでの光の影で、光を妬みながら動くことしかできない、陰の存在もいる。裏路地を縄張りとし、たむろしているヤンキーなんかがいい例である。 彼らは居場所を失くし、拠り所も無いまま、夜の街へ蔓延るだけの害悪となってしまった。 生きる目的すら見つからない彼らは周囲を巻き込み、何も関係ない一般人にまで害を及ぼす。 先週、運悪くその落ちこぼれ達によって被害にあった人は、持ち金を全額奪われた揚句、散々痛め付けられ病院送りにされたらしい。 ……もっとも、そんな凶悪なニュースも、今夜だけはただの小事でしかなかった。
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