二十歳

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 鷲尾ルカ20歳。15歳の時、母親の浮気が原因で両親が離婚。夜勤明けには必ず出迎えるほど、母親が大好きだったルカにとって、心の打撃は大き過ぎた。裏切られた喪失感は、ルカの心に大きな傷となって残っていた。  そして、父親の壮介とふたり暮らしになって、5年が経過し、ルカは成人を迎えた。 「とうとうお前も大人の仲間入りか。ルカにはいろいろ不自由な思いをさせてしまって、ほんとにすまないと思ってる……」 「何言ってるの? 悪いのはママの方じゃない! パパはルカの為に我慢してきたんだし、謝る事なんかなんもないよ? それに、とうとうじゃなくて、やっとだよ。やっとハタチ。だから、パパ? 好きなひと出来たら、ルカに遠慮なんかしないで、再婚していいんだからね」 「そう上手くはいかないもんだよ。パパの事よりルカはどうなんだ? まだ彼氏紹介されてないけど?」 「パパに紹介出来るようなひとにはまだ出逢えてないもん。彼氏いないと心配?」 「そんな事ないさ。むしろ出来た方が心配だよ」 「なにそれー。言ってること矛盾してるよー」 「ハハハ。親なんてそんなもんだよ。男が出来ても出来なくても、心配なもんさ」  パパ……。ルカね、ほんとは好きなひとがいるの。だけど、片思いなんだ。 「ねぇ、パパ? ほんとはいるんでしょ? ルカに遠慮しなくていいよ。もう大人なんだから。もしそのひとと暮らしたいなら、ルカは春から一人暮らししたっていいんだし」 「なっ! 何言ってるんだ? ルカに一人暮らしなんかさせられないよ。それに、パパには一緒に暮らしたいと思えるひとなんかいないよ?」  うそつき! 「パパ? ルカ知ってるよ。たまに女の匂いをプンプンさせて帰ってくるじゃない! 別に隠す必要なんかないでしょ?」 「女の……匂い?」 「香水の事よ! ルカが気付かないと思った?」  まずい……。 「あぁ……。あれは……、多分会社の人間に相談事されてた時かな? こう見えて、結構頼られててね。無視するわけにも行かないだろ?」 「そんな鉄板ネタを信じると思う? どうして? 何でほんとの事言ってくれないの? それとも言えない事情でもあるわけ?」 「ほんとだよ! ほんとに相談受けてただけだって! それに二人きりってわけじゃないんだよ。だから、そんな色恋ざたにはなんないさ」
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