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「鳴川さん……、あのね……。実はルカには好きなひとがいるの」
「えっ! そうなの? 早く言ってよー。だったら迷ってないで、告白しちゃえばいいじゃない?」
「そんな簡単に言わないでよ! 告白出来る相手なら、とっくに伝えてるよ!」
「ん? 告白出来ない相手なの? ――――あっ……彼女いるとか?」
「う、うん……。まあ、そう言う事なんだ」
「そっかー。そりゃまた、ちょっと辛いなあ…………。で、諦めるつもりはないの?」
「諦められないから辛いんじゃない! 好きな気持ちは止められないもの」
「だよね。でもね、ルカちゃん。片思いを楽しむのも悪くないよ? 両想いになっても、最初は楽しいけど、やきもち妬いたり、わがままになったり、心配要素が増えてくるからね。マイナスな部分が見えて来ない今が、ひとを見る眼を育てる時期なんだよ。まだまだ若いんだから」
「慰めてくれてるわけ?」
「慰めてるって言うか、一理説だよ。僕なりのね」と優しく笑う。
「鳴川さんは成就しなかった恋愛はあるの?」
「もちろんだよ。だけど、僕は潔いからね。断られたら、直ぐに引いてあげちゃうタイプなんだ」と言って、今度は高笑いした。
「それ、潔いって言うの~?」
「後を追わないんだから、ある意味男らしいだろう?」
「内心は結構引きずってたりして?」
「――あれ。わかっちゃった?」鳴川は笑いながら、「僕は押しが弱いタイプなのかもな」と苦笑いした。
「ルカは諦めが悪いんだね、きっと!」
「無理に諦める必要もないけど、ルカちゃんは、その彼をどうにかしたいと思ってるの?」
どうにかしたいも何も、どうする事も出来ないだろ。相手は彼女じゃなくて、妻なんだから。
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