出会いの季節、春。

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知らなかった。 八神の言ってる事が、スゴすぎる。 しかも、それを当然のことように言う八神も。 僕の暮らしとは、かなりかけ離れている。 「そ、そうなんだ…。」 『あなた、本当に知らなかったの?』 八神は顔を近づけ、上目遣いで聞いてきた。 「う、うん」 ヤバい…。 そんな、純粋な顔で近付けてくんなよ。しかも、上目遣いって…。 色々と無防備過ぎ。 僕は、近づいてくる八神の顔に対して、背中を反らし、できるだけ離した。 目も、合わせないようにした。 『まぁ、いいわ。ということで、教室には戻らないわ。』 はぁ…。 ホント、頑固。 頭が限界だ! “パシッ” 僕は、八神の手首を掴み、強引に引っ張る。 「ほら!教室戻るよ。」 そう言って、屋上から出るよう腕を引っ張るが、当然、わがままな八神は素直に言うことを聞いてくれるはずもなく、抵抗する 『嫌、やめて!』 抵抗がしばらくしたところで、止まった。 ???? 僕も止まり、後ろに振り向くと、八神は顔を伏せて立っていた。 体が小刻みに震えている。 「あ、あの…、やが―」 『あんたなんか大嫌い!』 その言葉を聞いて僕は思った。 僕も大嫌いだ!
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