第2話 『樹利の回答』

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「ええ?気持ちの浮気? そんなことあったんですか? 気持ちの浮気って、一体どんな状態を言うんですか?」 驚き目を丸くして身を乗り出したカズに、樹利はバツが悪そうに髪をかき上げた。 「……昔凄く好きだった人がいて、ちょっとした偶然というのかトラブルで、その人への気持ちが一時的に蘇ったことがあって。 なんていうんだろう、その頃にいきなりタイムトリップしたみたいな感じだったんだ」 リンとの確執を思い浮かべながらそう告げた樹利に、カズはゴクリと息を呑んだ。 「えっ、それでどうなったんですか?」 「俺の心が浮ついていることを知った可愛は『今度こそ彼女と幸せになってね』って置手紙をして、出て行っちゃって……」 「えーっ、そんなことがあったんですか? そ、それでどうしたんですか?」 初耳だったカズは勢いよく身を乗り出した。
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