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「そうしてフォンテーヌ伯爵の好意により、城の執事となったハインリッヒは、その美しさから城内の者を魅了しました。
艶やかな銀髪に、深い青い瞳にまるで美術品のように整った容姿。
漆黒のタキシードがよく栄え、彼が歩くだけで城内のメイド達が魂を抜かれたように見惚れ、立ち尽くすほどでした。
黒蝶城で培われた行儀作法や身のこなしが素晴らしく、執事ながら城の誰よりも堂々として貴族の風格を身につけていました。
皆、彼に見惚れながらも、彼が身にまとう『闇』に気圧され、誰も親しく近付けずにいたのです。
そんな彼に屈託なく懐いたのは、可愛さんの前身であり、伯爵の14歳になる一人娘のシャルロットだけでした」
そう話す結子に、可愛と愛子はゴクリと息を呑んだ。
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