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そのままキョロキョロとしていると、一つ大きな発見をした。遠目にだが建物が見える。
「城、なのかな‥」
まぁ、何でもいい。このまま森の中でポツンと突っ立っているよりは建物へ向かうほうが有意義なはずだ。
そう考えて城へと歩を進め始める。茨を避けながら進んではいるが、避け切れずに何度か掠め、傷を増やしていく。しかし、進むしかない。
やっとのことで城まで後数百メートルというところで、何かの声が聞こえた。
『暗い、怖い、苦しい、寂しい‥‥助けて』
「なんなんだ、この声!?」
ちっとも大きな声ではないのに頭にガンガンと声が響く。悲しそうな女性の声。知らない声だけど、どこか懐かしい、そんな声。
まるで頭の中で鳴り響くような声のする方角なんてわかるはずがない。それなのに、気付けば自分は城へと駆け出していた。あの城に彼女がいる、そんな確信があった。
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